待ち合わせと別れ際が下手な話

 昔から、帰り道が苦手だ。

 出かける直前は家がとっても恋しいけれど、一度出かけるとなかなか帰りたくない気持ちが収まらなくなる。だれかとご飯を食べたあと「この後すぐ帰る流れになるのかな、もう一杯するかカフェでゆっくりコーヒーでも飲みたいナ。。。」というメンへラちゃんな気持ちになってしまう。実際は帰る空気になって心底がっかりしていると『一服していい?』なんか言われて、ちょっとばかしわたしとの時間を延長してもらえたようで喜んだりする(わたしは吸わないけどね)。無論、異性に限った話ではないです。

 

 だからこそ、別れ際はわたしにとって最重要な時間である。

 

 

 「うちな、あんたと別れたあと、むっちゃ悲しくなるんやで。やけん、もっともっとうちのこと、見とってや。うちの姿見えんくなっても、ずっとそこおって手振っててな~~~。」

 

 

 

 

 的な、男にズブズブな依存女ではないのだが、この時間を雑にする人にはたくさん会ってきた。

 

 池袋駅、JR線改札内。たしかに互いの道が枝分かれしてさようならするだけなんだけど、気付いたらめちゃくちゃ距離が離れていて、遠くのほうで『ばいばい~~~』とか言うやつ。 一列になって改札を通ってたら、『やべ、電車来た!!!』とか言ってろくに挨拶もしないやつ。

 

 あれ、。別れ際が雑な人って、もうコミュニケーションが雑なんだな。

 わたしが今後、君に話しかけなくなっても、おかしくないレベルやぞ!!!!!

 

 

 

 そんな文句を言っているわたしだけれど、待ち合わせの時間はとても苦手です。

 基本的に約束の時間には遅刻してしまう最低な人間なのは目をつむっていただいて、ときたま10分前に到着してしまうことがある。

 

 そういえば、わたしが通っていたお堅い女子校では、10分前集合ならぬ20分前集合が暗黙の了解化していた。思い出深いのは、中学三年のころの長崎修学旅行。クラス班のリーダーだったわたしは、常に時計を見て班員に「ご飯行くよ!!」とか「就寝前のお祈り行くよ!!」とかを指示しなきゃいけなかった(めんどくさかった~)。まあ集合時間に遅刻したら怒られるのは集団生活では当たり前なんだけど、当時学年主任だったおばさまティーチャーが死ぬほど怖くて(彼女に個人面談を申し込まれた被害者は必ず泣いて面談室から出てきたものだ)、みんなビクビクしながら集合時間に間に合うよう部屋を出ていた。ちょっとワルな子が班に居ても、被害者たちの経験は全体共有されていたから、そんな面倒事は避けたいとのことでちゃんと言うことを聞いてくれた。そういうの、うちの学校のかわいいところ。で、そのビクビクがマックスに達しすぎ、最終夜の就寝前の祈りの集合時間には学年全班が25分前に会場に集合していた。さすがの先生も『こ、これはアカン。。。』の顔をしていてほしかったが、まんざらでもない顔なのが未だ気に食わない。

 

 

 そんな異常経験のせいで、なるはやで着こ~~~の意識はある。

 

 

「あ、あ、友だちはどの方面からくるんや」

「わたしが待っている姿を遠くから見つけて、その時のわたしのポーズ・顔が変だったらどうしよ……」

「音楽聴いて、口パクで歌ってるほうがお茶目なわたしっぽいかな?!」

 

 

 

 

とにかく早く着くとこの思考でおなかが痛くなる。

 結果、待ち合わせ相手が自分に近づくのが分かっていても触られるまで気付かないフリをするのが86%である。わたしと待ち合わせて、『はよ気付けや!』と御怒りをかってしまっていたらすみません。。。

 

 どうやって友だちと待ち合わせるのがベストなんだろうか。「久しぶり~~~♡」と黄色い声をあげながらハグ?「ウエイ」?ハイタッチ……?アメリカンな方が恥じらいを拭えて楽な感じが。

 

 

 

 待ち合わせを上手にできて、別れ際をじんわり余韻を持たせることができる大人になりたい。